シャリオンは国内外を問わず、子供たちを対象に歯磨き教室を開催している。2020年2~3月にはカンボジアの孤児院を訪問。カンボジアの家庭には歯磨きの習慣がなく、30人中20人が虫歯になっているというデータも。角田は現地の子供たちに歯磨きをレクチャーしながら、虫歯予防の大切さを伝えた。
成功に満足することなく次の“ゼロイチ”を目指す
思ってもみなかった幸運もあり、WHITENING NETが軌道に乗った角田。だがそれに満足することなく、次々に新規事業を立ち上げていく。
「B to Bの次は、B to C事業を始めたいなと。歯磨き粉、歯ブラシ、フロスといったオーラルケア商品のブランド『美歯口』を立ち上げ、ネット販売を始めました。現在の主力商品になっているのが、『30DAYSホワイトニングキット』。30日分の歯磨き粉と歯ブラシのセットで、歯磨き粉はパックに小分けされています。毎日開封して使用するため、清潔。日本はもちろん、衛生管理が行き届いていない発展途上国にもニーズがあると思っています」
欧米に比べると、日本でさえ、歯に対する意識は低い。定期的に検診を受けている人はわずか2%で、歯周病患者も多い。そこで、角田はオーラルケア雑誌の創刊や『美歯NAVI』という地上波初の歯のテレビ番組を制作。雑誌では著名人のインタビューやファッション特集を掲載、テレビでは豪華ゲストが出演し、楽しみながら歯の大切さを学べる機会をつくった。
「世の中にないものを作りだすのが好きなんです。『世界でいちばん、笑顔をつくろう』というシャリオンの理念にかなったオーラルケア事業であれば、どんどん新しいことをやってみたい。僕自身、常に新しいアイデアを探していますし、部下にもそれを求めています。彼らからのアイデアを、しっかりとくみ上げられる。そんな組織に成長していきたいですね」
とはいえ、ゼロからイチを生みだすことは簡単ではないはず。角田流の発想術を聞いた。
「常にアンテナを張りめぐらせて、情報を集めることでしょうね。例えば、歯磨き粉。僕の自宅には、海外のものも含めて100種類以上の歯磨き粉があります。使ったことがない歯磨き粉を見つけたらすぐに購入して試してみる。何にでも興味を持ち、実際に体験し、知見を貯めていくことがとても大切だと思います」
また、シャリオンはオーラルケアを通じて発展途上国への支援も積極的に行っている。今年の2~3月には、カンボジアの孤児院で「歯磨き教室」を開催し、子供たちに虫歯予防の大切さを伝えた。
「カンボジアを含め、アジアはオーラルケアに対する意識がまだまだかなり低い。そんな状況を少しでも改善したいんです。将来的にはこういった活動をもっと発展させて、アジア各国に学校をつくりたいとも考えています。オーラルケアの大切さを伝え、生活水準の向上につなげていく。歯を綺麗にすることで世界中に笑顔を咲かせていきたいんです」