淡路島のポテンシャルの高さに魅せられて
「初めてここ淡路島の西海岸に来た時は、本当に何もない野原だったんです。スタッフにも、ここに一から飲食店などの施設をつくるのはありえないと言われました。でも、海に向かって椅子を置き、夕陽を眺めながら過ごしていたら、みんなが笑っているイメージが頭に浮かんだんです。きっとできる、きっとそうなると思えました」と話す佐藤社長。
26年前の大阪・南船場。夜になると人気もなくなる倉庫街にカフェをひらき、またたくまに繁盛店にしただけでなく、界隈一体を人が集まる場所にした。
そして今また取り組むのが、ともすれば過疎地にもなりかねないエリアの創生。今回取材をさせていただいた淡路島などに、飲食店やホテルなどの施設をつくって観光客を呼ぶ。さらには、その地に根づく人を他府県から呼びこみ、地元と一体になって新しい文化拠点へと蘇らせる。まさに開拓者。それも先のことを見通せる力を蓄えた先駆者の所業だ。
ところが佐藤社長は「そんな大それたことではない」と言う。
「新たなビジネスの場を発掘する先見の明ではない。基本は、僕自身が、その場所が好きかどうか。そこへ行きたいかどうか。淡路島の食材は以前から注目してダイニングやカフェで使っていましたが、なかなか来る機会がなかった。2014年だったか、僕のバースデーパーティを東海岸でスタッフがやってくれて東海岸を訪ねた時にビーチを見て、こんなキレイなところに住みたいと思ったんです。
そして、コロナ禍の今、時代の流れにも後押しされ、ここの可能性を開花させる施設をつくることに、つながったんです」