理念とビジョンに突き動かされ、起業を決意
不動産の企画開発や販売、プロパティマネジメント、クラウドファンディングなどをメイン事業に、近年はDX推進事業にも力を入れているプロパティエージェント。成長著しい同社を中西氏が興したのは、前職である不動産デベロッパー入社から6年目、27歳の時だった。理由は、「僕のなかに、現在、我が社が掲げる経営理念とビジョンができてしまったから」。
中西氏の心に火をつけたのは、世界的ベストセラー、『ビジョナリー・カンパニー』だった。
「本を読むのが好きで、とくに社会に出てからはビジネス関連の本を読み漁っていましたね。『ビジョナリー・カンパニー』を初めて手に取ったのは、24歳の時でしたが、ものすごい衝撃を受けて。会社にとって大切なのは、確かなビジョンを持ち、それを実直に守りながらイノベーションを起こし続け、社会に貢献すること。自分もそんな会社をつくりたいと、気持ちが震えました」
もっともすぐに起業に踏み切ったわけではない。抜群の営業成績で若くして管理職を務めていた中西氏は、経営陣との距離も近かった。まずは、「この会社をビジョナリー・カンパニーに変えようと」と志し、行動を始める。
「社長の車の運転を買って出て、毎日送迎の時に社長に吹き込んだんですよ。『会社の経営理念って大事ですよね』『社会貢献も必要ですよね』って。1年かけて画策しましたが、社長の反応は今ひとつ。これはもう自分でやるしかないなと」