熱狂の履歴書

powered by GOETHE

中原眼科 院長

中原 将光

失敗ゼロのスゴ腕サージャン

眼科の世界に、100%失敗しない天才ドクターがいる――。そう語られるスゴ腕サージャンが、東京・町田で中原眼科を営む眼科医の中原将光だ。クリニックの前には早朝から行列ができ、その中には他のクリニックで診療を断られ、一縷の望みをかけて訪れる患者も少なくない。最近は中国やオーストラリアなど、海外からの手術希望者も増えている。圧倒的な成功率を誇り、絶大な信頼を得る中原医師の人生と仕事の流儀に迫った。

年間3000件の手術で失敗はゼロ

「中原先生、本当に失敗しないんですか?」。そう聞くと、「私は失敗しません」と力強い言葉が返ってきた。中原医師は東京医科歯科大学病院眼科、深作眼科などを経て、フリーランスの眼科医に転身。執刀の依頼を受けて全国各地を飛び回り、気がつけば誰も引き受けたがらない最高難度手術をこなす有名眼科医になっていた。そして2021年に中原眼科を開院。現在は開業医の立場で、日々患者と向き合っている。

「フリーランスのドクターにやりがいを感じていましたが、より質の高い診療を行うために開業する道を選びました。フリーランスだと、いろいろな病院へ行くでしょう。用意されている器具が違うし、スタッフとも“あうんの呼吸”というわけにはいかない。理想の環境という観点では、開業がいちばんいいだろうと思ったんです」

勤務医、フリーランス、そして開業医になってからも手術の成功率は100%。決して執刀する件数が少ないわけではない。開業後の1年間で3000件以上の手術を行い、その中には白内障の手術2100件のほか、ミリ単位の技術が要求される角膜移植など難しい手術も含まれている。

技術力だけでなく“外来の力”が重要

では、成功率を高めるために必要なことは何か?

「技術力を磨くことは重要ですが、それ以上に外来の力が大切だと思います。患部の状態を見極め、患者の話をしっかりと聞く。患者さんがどのようなライフスタイルを送っているかによって、最適な視力は変わってきます。クルマを運転する機会が多く高い視力が必要だという人もいるし、日常生活に支障がない程度でいいという人もいる。患者との会話の中で、そこをきっちりと擦り合わせていくことが何より大切だと感じますね」

患者の状況をしっかりと見極めれば、手術の難易度も見えてくる。自分の技術で成功できるのか、それともできないのか。天才医師だって、治せない病気は治せないのだ。

「医師の宿命ですけど、不治の病気を患った患者との出会いは避けられません。僕のところに藁にもすがる思いでやって来た患者に、『治せません』と言うことは本当に辛いですよ。医師として正直に事実を伝えなければならない。でも、ただ『治らない』とは言いたくない。そういう状況に直面した時は、『病気は治らないけれど、今の状態を少しでもよくするためにこういうことをやってみたら』というようなアドバイスを心がけています」

数をこなすことの必要性

成功率100%を支える技術力と外来力。中原医師はどのようにしてスキルを高めていったのだろうか。

「小学校から手先が器用で、図工の授業が大好きでした。勉学に関しては自分自身よりも両親が熱心で、正直、医師を目指すように道筋を敷かれた感じですね。ですから、医師になりたいという気持ちはそれほど強くなかった。まして、眼科医への興味や関心はほとんどありませんでした。でも、医大の5年次にポリクリ(臨床実習)が始まり、病院の各診療科を回るようになって、眼科のすごさを知った。執刀医の細かな技術に驚かされ、自分に向いていると感じたんです」

中原さんは眼科医になることを決意。大学の教授にそう伝えたところ、ひどく驚かれたという。

「当時、眼科医は格下に見られていました。外科医や内科医になれない人が、仕方がなく眼科医になるというような図式があったんですよ。でも、眼科を選んで正解でした。医師になってすぐに現場にまわされ、自分で患者を診るようになり、強いやりがいを感じましたね。もっと患者を診たいという気持ちもあって、休日を利用してアルバイト。他の病院へ出向いて外来や手術を担当しました。そのがむしゃらに働いた経験が、眼科医としての土台になっていると思います」

やればやるほど「手術は怖い」

患者に慕われ、頼りにされ、最善の結果へと導く中原医師。ほかの眼科医が目を患った時に、手術を依頼されることもよくあるという。それだけの実績と信頼を誇りながら、中原医師は「手術は怖い」と言う。

「手術はいまだに難しいと感じるし、やればやるほど怖いですよ。だから、失敗しないために、コンディションの維持には人一倍気をつかっています。栄養ある食事を摂り、激しい運動は避けています。指先にケガでもしたら……と考えると、スポーツは怖くてできないですね。手術の直前には必ず精神統一の時間を作る。手術のいちばんの大敵は雑念による心の乱れですから」

だが、そうした手術に対する不安や怖さは、患者の前では一切見せない。

「手術の前って、患者はどうしても不安になるでしょう。僕まで不安そうな顔をしていたら、患者の心配に輪をかけちゃいますよ。だから、患者には『失敗する可能性はゼロだから』とか、『この病気は僕じゃないと治せないから』とか、“自信過剰だろ”と思われそうなことを堂々と言っています。でも、大丈夫。僕の手術は100%成功します」

20年以上愛用する仕事の相棒

最新の医療機器を積極的に導入する中原さんだが、医師になったばかりの頃から愛用しているアイテムがある。眼科医の診察用レンズ「ボルク スーパーフィールド」(小)と「オキュラー 20D」(大)だ。「もう20年以上、使い続けていますね。重さが手になじんでいて、このレンズじゃないと使いにくさを感じます。初心を忘れないためにも、今後も大切に愛用していきたいですね」 。

※掲載内容は2022年6月19日現在の情報となります。

中原 将光

nakahara masamitsu

東京都武蔵野市生まれ。国立浜松医科大学卒業。医師免許取得後、2003年に東京医科歯科大学病院眼科の網膜硝子体グループの後に、横浜市立大学病院眼科を経て2005年に深作眼科へ勤務。同時に横浜市大眼科医局に属し横浜市大センター病院にて網膜硝子体疾患の診療に非常勤医師として従事。県立足柄上病院の部長を歴任し地域医療に貢献。深作眼科 副院長 兼 横浜院管理責任者就任。手術の技術を求め、フリーランスの外科眼科医として全国で依頼手術を行い、気がつけば誰もが断る最高難度手術も引き受ける諦めないという技術とタフさを身につける。理想の診療と手術を提供するため、中原眼科を開院。


【所属学会・資格】アメリカ眼科学会、アメリカ白内障屈折矯正学会、ヨーロッパ白内障屈折手術学会、日本眼科学会認定専門医、日本抗加齢学会認定専門医、近視矯正手術ICL認定医、DSEAK角膜内皮移植認定医、緑内障 iStent認定医、VISXエキシマレーザー認定医、VISXフェムトセカンドレーザー認定医、オルソケラトロジー認定医、光線力学療法(PDT)認定医、身体障害者福祉法指定医