複数の選択肢を持って視野を広げる
首都圏の大企業に就職できれば、給料は高いし、将来も安泰だ。そんなモデルは、過去の話になりつつある。世界の上場企業の時価総額ランキングで、1989年には上位50社中32社を日本企業が占めていたが、いまではトヨタ自動車1社のみ。経営環境の悪化にともない管理職のポストが減少し、働き盛りのビジネスパーソンが昇進するチャンスも減っている。
「景気の低迷により、経営のあり方は大きく変わりました。企業は効率性を求め、遊びや余裕といったムダを削り続けています。その傾向は都市の規模が大きくなるほど強く、多くの大企業が本拠地を構える首都圏に顕著です。効率性ばかりを求める生活に息苦しさを感じている人も多いのではないでしょうか。一度、『都市生活は豊かだ』という思い込みを捨て、自分自身が求める豊かさとはなんなのかを考えてみる必要があると感じます」
最近は地方創生ブームの影響もあり、首都圏一極集中の流れに歯止めがかかっているようにも見える。
「忙しない日常にメンタルをすり減らし続けている人が多い。子どもの頃からさまざまなことを我慢して、頑張って手にいれたものを失いたくないという心理がハードルになっているのでしょうね。コロナがあって世界が大きく動いているこの時期に、複数の選択肢があると知ってほしいのです」