自分にしかできないことをやる
身体に負担が少なく、傷口がほとんど残らないうえに日帰り手術でOKという、新しい椎間板ヘルニアの治療法、PLDDと、NKT(ナチュラルキラーT)細胞を用いたがん治療を主軸にしている「伊東くりにっく」。いずれの治療法も現時点では保険適用外の自由診療、しかも、完全予約制とハードルが高いものの、伊東氏の腕を頼り、全国から患者が集まっている。
「椎間板ヘルニアが完治したという患者さんの口コミ効果もあるようで、月に20件はPLDD手術が入ります。当院は完全予約制なので、日々のスケジュールは立てやすいですね。おかげで、医師と政治家という二足の草鞋を履くことができます」
自由診療主体で、完全予約制のクリニック。美容外科などでは普及しているものの、整形外科では珍しいシステムだ。
「医者は時間に追われて忙しいと言われますが、長年現場に携わって感じたのは、不要な業務や効率の悪さも、その一因だということ。2006年に、自分のクリニックを開業した際、これらの問題を解決したいと思い、このスタイルを確立しました。他とは違う、自分でなければできないことをやる。それが、私の信念なのです」
医師と政治家。それは、伊東氏が幼少期から抱いていた夢だった。
「母親には、『世のため、人のために尽くす医者になりなさい』と言われてきました。僕も、大切な人が死ぬということが怖くてしかたがなくて、その恐怖を克服するには、命を救う医者になるしかないと思ったんですね。政治家は、総理大臣や国会議員に憧れて……といったところです。でも、まさか両方なれるとは、当時は思ってもいませんでしたが」